認知症の予測にアミロイドβ:PET診断ありきの話?


こんにちは。今日はアルツハイマー型認知症の早期予測のニュースについて、本当?とすごい!と感じる点を話したいと思います。

 

  1. 痴呆症の予測について気になった背景

そもそも痴呆症の予測について気になったのは、最近「アミロイドβタンパク質(Aβ)を健康な人で測定することによって、将来アルツハイマー病を発症するリスクを予測できる」といったニュースを見た記憶があるからです。だけどちょっと勘違いが入っていました。

大学院時代に、友人が長らくアルツハイマー病研究の解析担当をしました。それで、当時からアルツハイマー型認知症といえばアミロイドβが連想させられるのです。しかし、それはAβタンパク質が病気の原因物質だからというより、AβをPET診断するのに使用されるピッツバーグ・コンパウンドB(PiB)が当時「画期的なトレーサー」と聞かされていたからなんですね。

わずか10年前の話なので、ニュースを見たとき「もうAβがアルツハイマー病を確定的な原因物質と証明されたの?早いなー!」という驚きの気持ちでした。

もう一つ認知症予測が心に引っかかったのは、自分自身がん研究所でしばらく働いていたころPET研究も担当していたというのがあります。癌のPET研究ではPiBではなくFDGというトレーサーを使うのが一般的ですが、PETの解析って結構難しいのです。

解析方法自体が難しいのではなく、「デジタイズド・メディシン:ビッグデータと薬の開発」の記事で頻出した「因果関係 (Causal effect)」について立証するための試験デザインの最適化が難しいと感じるんですけどね。

一般的にPETは高額な診断という制約があるので、統計家としては制約があってちょっと苦しいなと思うってことなんです。


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