認知症の予測にアミロイドβ:PET診断ありきの話?


大量にあるかもしれない論文を逐一調べていくのは大変なので、まず直近の5年間ぐらいの臨床研究で健常人のアミロイドβと認知症について探してみました。

結果からいうと、もっと直近のレビューペーパーもあったのですが、一番面白かった論文は、Rabinovici GD1, Jagust WJ. Amyloid imaging in aging and dementia: testing the amyloid hypothesis in vivo. Behav Neurol. 2009;21(1):117-28 でした。ここには健康なひとを対象としたアミロイドβ研究について序論”3. Amyloid imaging in normal controls” に詳しく書いてあります。

The high rate of PIB-positivity in normal controls underscores that a positive PIB scan cannot be interpreted without a careful clinical evaluation, and emphasizes that amyloid imaging alone must not serve as a surrogate for a clinical diagnosis of AD or dementia.

「(アミロイドβ蓄積を示す)PiB陽性は健常人でも高頻度にみられることより、アルツハイマー病・認知症の診断にアミロイド・イメージングを単独でサロゲートとして用いてはならない」と書いてあります。あれれ、なんだか雲行きがあやしいです。

これに続く部分も、「高齢健常人をアミロイドβ陽性・陰性の2群に分けたとき2群間の認知の差を有意に示した試験は殆ど無」かったりします。

ただし、「アミロイドβを連続値として扱った場合、アミロイドβ量と認知は有意に逆相関関係を示した試験が多い」ということなんですね。サンプル数(被験者数)が小さい試験なので信頼性は低いですが。

また、”hippocampal atrophy appeared to mediate the relationship between PIB binding and memory loss”「(アミロイドβ蓄積を示す)PiB結合と記憶喪失の間には海馬萎縮の関与が見受けられる」などとも書いてあります。


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