今日の話題はオンラインニュースに見る日本語です。半年ぐらい前から目について仕方ないのが、オンラインで見かけるニュースの伝え方。
とくに、人々の反応の描写で、感情に訴えたり、悲壮感を漂わせるテクニックが、気になってしまいます。間接表現で何が起こったかを想像させようとする書き方だったり。一度気になり出すと止まらなくて、ある種の言葉探しが面白くもあったりします。
また、明るいニュースにも、ネガティブな漢字が使用されるのは、例えて言えば、甘い食べ物に塩を入れて甘さをより引き立てようという狙いがあるのでしょうか。
これらの表現傾向は、マスコミで良しとされるライティングが、戦後から変わっていないことが原因かと思ってます。
以下、気になった表現の例を少し挙げてみますね(下線太字部分)。
- “日本科学界が悲願達成、欧米独占崩す…元素発見” 読売新聞 2016年1月1日付ニュースより。
— この悲願はニュースに多用されるのです。なぜ悲しく願うかな。調べると、仏教用語からきているらしいので、こんなことをいうとバチがあたりそうですが、英語のニュースには見られない表現です。ニュース自体は快挙で素晴らしいですね。 - “近所に住む70代男性は、「まさかこんな近くだったなんて。自分も大工だが、とにかくびっくりした」と驚きを隠せない様子。” 産経ニュース West 2015年12月8日付のニュースより。
— この事件で驚きを隠そうとする必要はあるのでしょうか??これも無くても伝わりそう。 - “現場の目の前を通ると、暗い気持ちになる」と伏し目がち。” 日刊スポーツ2015年12月22日付調布小型機墜落事故のニュースより。
— 伏し目がちも良く好まれますね。 - “労働局の言葉に、出席者は困惑の表情を浮かべた。” 西日本新聞 2015年9月29日付改正労働者派遣法のニュースより。
— 他にも、微笑、困惑、焦り、落胆、安堵、反省の色、いろいろなものがニュースには浮かんできます。率直に「表情だった」で十分では?と思ってしまう。
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