うちにはIEEE(アイ・トリプルイー)から会報誌IEEE SPECTRUMが届きます。IEEEは電気・電子工学系エンジニアのための学会。集積回路や化学・物理学応用に絡めるトピックが多いなか、今月(2015年6月)の会報誌はビッグデータの医療分野への応用。この特集が面白すぎて、自分なりの解釈を頭の整理のために書いていきたいのですが。
昨日からラボ・ミーティングがはじまり忙しくなるかもしれないのです。そこで、先日の投稿記事「iPS細胞で薬はいらなくなる?」でふれたデジタイズド・メディシンを主に薬の開発の観点から考察します。
はじめに、この会報誌でデジタイズド・メディシン(Digitized Medicine)という用語を見つけました。これは衝撃的なことばです(バズワード?)。いまのところ日本語でググっても検索結果がでません。先日の投稿の説明は部分的でしたが、最もシンプル(比ゆ的)には「人間のからだを大きくて精密な機械に見立てたときのパーツとしての医療製品、または巨大な集団からのデータを解析利用して個々の患者に役立てる医療」と考えておきます。
もう少し詳しく表現すると、デジタイズド・メディシンは「患者個体内では移植メムス(MEMS: Micro Electro Mechanical Systems)のようにセンサー、コントローラー、アクチュエータ、コミュニケーションシステム(データのインプットとアウトプット)を使用した医療または医療製品。また、患者個体間からのデータ(しばしば大きな集団から得られるビッグデータ)をモデリング、データマイニング、クラスタリング等により解析し各個人に合った治療法を割り出し応用する医療」なのだと思います。
デジタイズド・メディシンのメムスのような技術の発展はiPS製品にとってライバル的存在かもしれません。特に後述するように非侵襲の製品の開発が進めばです。
デジタイズド・メディシンの後半にある、個体間のデータ集積し個々の患者の医療に役立てる考えはテーラード・メディシン(Tailored Medicine)またはパーソナライズド・メディシン(Personalized Medicine)と呼ばれる個別化医療を想起させます。デジタイズド・メディシンでは、メムスとかビッグデータの部分でIEEEのエンジニアたちが活躍するわけですね(つまりデジタイズド)。