認知症の予測にアミロイドβ:PET診断ありきの話?


肝心の、これらのひとを18ヶ月の時点で軽度の認知障害(MIC)の有無の2群別に見たとき、アミロイドβ蓄積の有意差が見られるか、の結果は示されていませんでした。

そういうPETでの評価はネガティブだったかもしれないと想像したりもできますが、面白いのは、アミロイドβ蓄積量(PETでの評価)と血中のアミロイドβ関連物質の相関関係を見ていることです。

「脳のアミロイドβの蓄積が増えると、血中濃度でAβ1–42/Aβ1–40比が減少していた」らしいです。血中のアミロイドβ関連各種物質は、アミロイドβのアイソフォーム又は代謝物とでも考えられるでしょうか。つまり、例えば、脳のアミロイドβの見かけの蓄積量は似た健康なふたりが居たとしても、アミロイドβ関連物質として血中に出てくる量に減少が見られるひとのほうが、認知障害を起こしやすいようです。

特に、この博士論文によるとAβ1–40と Aβ1–42はアミロイドβのアイソフォーム同士で、通常脳内のアミロイドβはAβ1–40の生成による蓄積が大半ですがAβ1–42の生成の方が増加すると、問題みたいですね。

但し、この結果は必ずしもスタート時点で健常人であった群のものではないので、健常人におけるアミロイドβ蓄積量から将来の軽度認知障害(MCI)が予測できているかといえば、実証はされていないです。

いやはや、研究を辿るのは面白いです。


にほんブログ村 海外生活ブログ 海外留学(アメリカ・カナダ)へ ブログ村

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です