少し細かく言えば、この論文の表3にLinear Mixed Effects Modelという統計的モデルが使用されています。その設定で、結果変数(モデルのY)にアミロイドβ、予測因子(X1, X2, ,,,)にアミロイドβ関連物質や認知障害の診断など入れているみたいです。
しかし、重要な「因果関係 (Causal effect)」について調べるなら、認知障害の診断を結果(モデルのY)に入れた解析結果を見たいところで、Logistic Linear Mixed Effects Modelを使って結果を出していれば、臨床的にもっと面白かったのではないかなと思います。表5の結果はそれに近いですが、スタート時点で健常人に限定していないという意味で残念。
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健常人におけるアミロイドβ蓄積量からの軽度認知障害(MCI)予測 をたどる–その3 (ADNI-1)
先の論文と下記の今年のアルツハイマー病関連レビューペーパーには、アメリカのADNI-1という研究が紹介されていました。このANDI-1は、2項で挙げた理想的な疫学研究の形をとっているみたいで、興味への答えが見つかるかもしれない、期待できそうです。
このANDI-1は、高齢の健常人を最初に200名、後でさらに人数を追加して2015年まで追跡を実施する研究です。2015年ということは今年。結果がもう少しででるということでしょうか。
上記のレビューペーパーにはANDI-1からの中間報告も載っていて、PETでのアミロイドβ測定も「他の諸項目検査との組み合わせ」で認知障害がみられないひとの将来予測に有用そうだということでした。
しかし、健常人におけるアミロイドβ蓄積量から将来の軽度認知障害(MCI)が予測できているかには未だ回答できる確証的なデータはでていないとも言えるみたいです。