タグ別アーカイブ: 医薬品開発

デジタイズド・メディシン:ビッグデータと薬の開発

うちにはIEEE(アイ・トリプルイー)から会報誌IEEE SPECTRUMが届きます。IEEEは電気・電子工学系エンジニアのための学会。集積回路や化学・物理学応用に絡めるトピックが多いなか、今月(2015年6月)の会報誌はビッグデータの医療分野への応用。この特集が面白すぎて、自分なりの解釈を頭の整理のために書いていきたいのですが。

昨日からラボ・ミーティングがはじまり忙しくなるかもしれないのです。そこで、先日の投稿記事「iPS細胞で薬はいらなくなる?」でふれたデジタイズド・メディシンを主に薬の開発の観点から考察します。 続きを読む

iPS細胞で薬はいらなくなる?

iPS細胞で創薬という話があります。iPS細胞は人工の幹細胞、つまり成熟細胞(皮膚の体細胞など)に分化してしまった細胞を遺伝子導入のリプログラミングによって再び分化前の状態に戻し、多分化能と自己複製能を持たせた細胞です。

iPS細胞の創薬における使い方は大きく二通りあるのではないかと思っています。ひとつめは、組織、または造血幹細胞などをiPS細胞から作り上げて、人に移植する。ふたつめは、iPSから組織片などを作製し、それを新薬開発のプロセスで実験材料として使用する。

前者が世間でよく知られている使い方だと思いますが 続きを読む