責任の範囲:薬剤師が注射を打つことからの考察


日本が超高齢化社会に突入といっても、オンライン化する社会で在宅訪問指導を必要とする患者だけをターゲットにするのは、薬剤師が6年制教育における専門知識が生かされ無さそうな現場だと感じます。

訪問を目玉にするのではなく、むしろ、薬剤師が指導できるスタッフを増やし(アメリカでファームテックと呼ばれるような職業)、将来的に薬物療法という専門知識を生かせる業務に時間を割くことのできる環境づくり、薬剤師の責任・裁量を拡大させることが好ましいように思えます。そうすれば、薬学科を6年制にした意義として大きなマイルストーンになりそうです。

現実に日本の薬剤師の責任の範囲を広げるには、強力なリーダーシップが重要でしょう。これは、大学でまずリーダーシップのある学生を受け入れることから始まるのかなと思います。「薬学科、薬科学科?:アメリカの薬剤師とPhD」で書いたように、結局はアメリカのPharmDの入試のように、色々な要素を評価し面接をし、総合的に合否をきめるシステムが最適なのかもしれません。

Pharmapplicantsというブログによれば、アメリカもPharmDは1992年のthe American Association of Colleges of Pharmacy (AACP)における決定で全米の薬剤師に必須となった学位です。それ以前は大学5年制のBPharmが薬剤師になるための学位でした。現在は、4年制のPharmDプログラムに入学するには大卒の資格が必要です。

こうしてPharmDが一般的になってから、薬剤師のリーダーシップにより責任と裁量が確実に広げられてきたのではないかと思います。

日本で薬学科が6年制になり約10年ですが、今後どういう方向に発展していくのか、薬剤師という職業がどのように変わっていくのか、興味のあるところです。


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