研究においても、日本で解決策とはなりえない方法がアメリカでは実行可能ということを目の当たりにすると、アメリカの薬剤師に与えられている責任に感動さえします。
医療・研究のフィールドを問わず、薬剤師が独自に責任を持ち、能動的に(制約や許可を必要とせず)行動できるのですね。
このようにみてくると、日本の薬学科が6年制になったにも関わらず、薬学科の人気が昨今低下か頭打ちというデータ (東洋経済、旺文社入試動向分析) が示すのは、薬剤師の専門性を上げる一方で、責任や裁量を十分与えていないのも要因ではないかと感じます。
単純に、これほど勉強して専門知識を詰め込んで、高い学費を6年も払って、現状の薬剤師の権限の範囲をみると割に合わないと思い諦めるひともあるでしょう。
わたしは学生時代の実習で薬剤師業務を体験しただけなので、実は日本でも病院で働く臨床薬剤師は、高度な専門性を発揮できるよう変わっているのかもしれません。薬剤師のチーム医療への参加というニュースも見ますし、東日本大震災では薬剤師の重要性が痛感されたという東北大学の医師の先生にお話も伺ったこともあります。
しかし、一般人からみれば、薬剤師は服薬指導に力を入れているぐらいに映っているでしょう。同じ6年制の医学部と比較すると職業に対する魅力が分かりにくいですね。
こうなると最近日本のニュースで目にする、医薬分業や院外薬局は本当に必要か、という議論がでてくるのも当然に思えます。患者さんにとっては病院に行った後、薬のために院外薬局へ出向くのは煩わしいですよね。つまり、薬剤師は服薬指導をするだけのようになると、院内であろうが院外であろうが、どちらでも出来そうに思えます。