責任の範囲:薬剤師が注射を打つことからの考察


日本では薬物の作用機序で薬物のターゲットとして生体側も学びますが、医学的な病態の知識の習得は浅かったように思います。大学時に正常な生体を学ぶ生理学はあったものの、病理学は顕微鏡の話が主だったような。循環器学に限らず、こちらアメリカの授業では、精神疾患のメカニズムや症状を時にはビデオを見ながら学んでいきました。

要は、アメリカの薬剤師は、患者の背景・病態や臨床検査値を読み取って、どの薬が一番適切か、薬物動態上の注意点は何か、投与経路と投与設計はどうするか、時には遺伝子情報も踏まえて考察するトレーニングをしっかり受けということがわかります。

薬物動態が予測と違う挙動を示したときには、何が原因と考えられるかなども考察するトレーニングを受けます。

それだけでなく、日本で薬剤師業務をする上で遭遇しなさそうな倫理の問題(安楽死への関わり方や社会的弱者への対応)を考える力を養います。

また、ヘルス・プロフェッショナルの一員として、医師、歯科医、看護師とおなじように注射を打つことも実習で体得する(将来接種業務行う)のでしょうし、日本の薬剤師と立場を大きく変えるのは、処方権も持つということなのでしょうね。

アメリカの薬剤師はファーム・テック(テクニシャン)を指導する立場にあるので、元からリーダーとしての資質を持つひとが多そうです。Pharmacist Magazineでアメリカ人薬剤師のイメージ写真も自信に溢れている感じで写っていますね。

「薬学科、薬科学科?:アメリカの薬剤師とPhD」で病院薬剤師のシャドウイング(見学)体験を書き、色々な薬剤師がいることが分かりましたが、医療従事者として一番責任を発揮できる立場にいるのは、臨床薬剤師 (Clinical Pharmacist) ということだと思います。シャドウイング時に話をしたClinical Pharmacistも独立した専門家という感じで、新生児特定集中治療病棟 (NICU: eonatal Intensive Care Unit)を担当していてかっこ良かったですよ。


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