責任の範囲:薬剤師が注射を打つことからの考察


本来の医薬分業の意義は、(Wikipediaによると)薬剤師が薬物療法に責任を持つことを明確にさせる、ということなのだろうと思います。これは西欧医学の歴史や発展に合わせたシステムでしょう。

アメリカは、先に述べたように、(1)薬剤師がリーダーとしての資質をもち、テクニシャンの調剤作業を監督指導し、薬物療法の専門家として仕事をする。(2) 地域の(院外の)薬局が社会的弱者などで病院に行けないひとの受け皿となって、患者に教育(単純な服薬指導ではない)する。(3) 予防接種など、日本での保健所のような役割も担う。(4) 処方権を持つ、(5) 保険会社と折衝する、 などがあります。

実際、自分自身がシャドウイングで見学したときを思い出しても、薬剤師の処方権がどのように使われているのか分からない部分もあります。しかし、少なくとも処方箋の追加は、医師の診察を必要とせず、患者が医療機関に電話かEメールで依頼するだけで、希望する近所の薬局にいけば処方薬がでてきたので、このプロセスに処方権が関係しているのだと想像します。

つまり、アメリカの院外薬局が院外である意味が大いにあるようです。

日本では院外薬局の意義のひとつとして、薬剤師による在宅訪問に見出そうとしているようです。厚生労働省の資料には、薬剤師による薬学的管理指導の必要性が言及されています。

確かに、寝たきりのひとや退職した高齢者にとっては、また薬剤費削減のために、有効なことでしょう。しかし、この資料p.2のように、他の何者でもなく薬剤師自身が薬を届けるか届けないかというような議論は、本質ではないように思います。アメリカではメール・オーダーで薬局から処方薬の郵送が出来ます  (参照ブログ)。ということは、デリバリーは誰でもできる仕事ということです。

また、自宅の薬剤管理は重要ですが、認知がきちんとできる患者に関しては、訪問せずとも患者を信頼し啓蒙する方法がありそうです。仕事がある患者にとっては初めから薬剤師の訪問の必要性を感じないでしょうし、薬剤師自身の在宅訪問の物理的負担があり、医師への報告書の必要性の不便さもあるようです。


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