アメリカで待遇が良い理由は、生物統計家になるには修士号以上持っていることが条件の場合が多く、学位を取るのは自己投資と考えているので、その投資に見合った給料を求めるのは当然と考えているようです。また、その投資で得たスキルには同等の対価が払われるよう、大学院で指導にあたる生物統計の教授たちも求める努力をしています。
こうして考えると日本の生物統計家のアカデミックポストも学位に見合った給料が望ましいでしょう。
日本でアカデミックポストの給料を魅力的にしたほうが良いもうひとつの理由があります。昨日の投稿で触れましたが、アメリカでは統計学を専攻したひとも生物統計の職につくひとが多いです。それに比べて、日本で統計学を専攻したひとは純粋に理論を研究するのが好きで、生物統計などの応用分野に興味がない者が多いと、ある学会で日本人の統計の先生に聞いたことがあります。
最近、統計に関する人気の本もでていて裾野が広がっているようですが、統計学者がもともと少ない日本において生物統計のスキルの高いひとを集めるには、やりがいと給料の両方の魅力が要るでしょう。
以上まとめると、アカデミアで臨床研究の統計専門家を増やすには、主要なメンバーとして全てに関わらせ試験デザインから積極的に関与させることと、待遇を向上させることのふたつが肝要に思われます。