ディオバン事件:不正防止策に関する考察


先日の記事で、ディオバン事件を例に不正臨床研究の3要因を考えてみました。特に、統計専門家の倫理観の欠如にフォーカスしてみました。今回はディオバン事件等の臨床研究の不正を受け各方面から提言された不正防止策について考察してみます。

私がピックアップしたい不正防止策は次の4つです。

  1. 臨床研究の法規制
  2. 倫理審査委員会の整備
  3. 生物統計家の臨床研究への関与
  4. 生物統計家の育成とポストの設置


臨床研究の法規制

厚生労働省の医政局では、去年「臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会」が9回に渡って開催されており、その報告書が去年12月に公開されています。この報告書の別紙3の表にもあるように、臨床研究は、(1)薬事法適応対象の臨床試験(いわゆる治験)と(2)薬事法適応外の臨床研究(医師主導型臨床試験等)の2種類あり、厚生労働省の中でも医薬食品局と医政局が別々に、取り締まり・振興に関わっています(詳細)。

こうしたことから、(2)薬事法適応外の臨床研究(以下、臨床研究)でも、不正防止のため法規制するべきではないかということが、医政局のほうで検討されました。

私が日本の製薬会社で治験に携わっていたころ、治験には日米どちらにおいても法規制があるのに対し、法規制対象外の臨床研究は「ゆるい」という認識をしていました。しかし、先ほどの別紙3の通り、日本と違って欧米では臨床研究に対しても法規制があります。


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