薬学科、薬科学科?:アメリカの薬剤師とPhD


多くは大学で理系分野(化学、生化学、生物、プレ・ファーム等)を専攻していれば、夏休みにリサーチ・プログラム通じて大学の教授や大学院生と話す機会や研究室で実験など体験ができます。

また、薬剤師の仕事は病院や薬局が提供するシャドウイングまたはジョブ・シャドウと呼ばれるプログラムを利用し、まさに薬剤師の影のようについて見学できたり、薬剤師をめざす学生と情報交換もできます。つまり、PharmDプログラムかMasterまたは PhDプログラムか心を決めるに足る情報が得られるでしょう。

問題なのは日本で進路に迷っている高校生ですが、「二つのことは同時に出来ないから、より魅力的な職業につながる学科を選ぶ」のが良いように思います。

研究職にあこがれて薬科学科に進み薬剤師免許がとらなかったとしても、将来薬剤師免許に絶対の必要性がでてくれば必要な時点で薬学科に入りなおす方法があるでしょう。薬科学科から既に重複する単位をとっていれば、全く他分野で大学に入りなおすより負担が軽くなるでしょう。

ところで、私はアメリカの薬剤師の仕事をシャドウイングしたことがあります。3日間有給休暇を取って他州の病院のシャドウイング・プログラムに参加しました。

参加した理由はシャドウイングをする数ヶ月前にあります。PharmD、PhDの両方の肩書きを持って臨床研究職に就くというゴールのもと、目指していたPharmDプログラムに落ちていたからです。

PharmDプログラムでは出願者のうち2割以下が面接に呼ばれるという話だったので(最終合格者は出願者の1割弱)、面接にたどり着いた後に落とされてしまった理由はなんだろうと考えこんでいました。

受験したPharmDプログラムは研究指向型で有名、卒業生は薬剤師だけでなくFDAや製薬企業の研究開発職に就職していたりしました。在校生は社会人を経験したものも多く、中には軍人を退役し二人こども持つ女性もいました。それぐらい個性重視でした。

面接は変わった方式だったので、今思えば日本人はとてもクリアできるものでないですが(学生の外国人率2%以下)、将来「研究開発職につきたい」という希望を述べたのは覚えています。

面接の反省のなか調べていくうち、「研究開発職を目指す」というような志望動機では、研究指向型のPharmDプログラムでも不合格となるという情報を見つけました。そういう情報があるということは、わたしのようにPharmDを取得して研究開発職に就きたいと考えるアメリカ人もいるんですね。

全てのPharmDプログラムは、リーダシップのある薬剤師を育成することを目標としています。出願時には薬剤師の職業観をはっきり持っているものが優先されます。将来薬剤師免許を利用してどんな職業につくにせよ、受験の面接時には通常の薬剤師業務とその意義について話せなければいけないようです。

アメリカの薬剤師という職業を全く勉強していなかったので、不合格になって当然なんですね。日本で言えば、薬学科を目指すのに薬剤師について考えていなかったに等しいでしょう。

アメリカのPharmDを受験するにあたっては、成績だけでなく、保険制度や倫理観(社会的弱者や安楽死問題)、患者への教育などの理解と意見が問われます。医療分野のニュースを常にチェックし議論できるひとでなければなりません。日本の6年制薬学科の一般入試でそのようなことが問われることは殆どないですよね。

ましてや、日本で6年制になる以前に薬学部を卒業した私は、アメリカの薬学におけるPharmDとPhDの違いを特に意識せず、PhDは既にあるので臨床系のPharmDが必要だと単純に思っていました(わたしのPhDは生物統計)。


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