あれから早○○年、ずっとNMRと関係ない仕事や勉強をしてきました。NMRは基礎研究で使われますが、わたしの仕事はずっと臨床試験や臨床研究に関わるものです。
ところがです。
この春、NMRを勉強する機会がやってきました。前学期の「薬学分析」という授業の1トピックにNMRが入っていました。しかも、Practicumという名の実習時間にあっさりとあのNMRを操作することができました。授業を受けている学生全員です。
NMRとIRの分析機器コンビネーションで未知の化合物を推定するという課題でした。慎重にNMRのサンプルチューブを準備する必要はありますが、操作自体は単純作業。教授が一人ひとりの操作中に傍で確認してくれました。
○○年前と違って、NMRも進化しているんですね(昔の知識はすっかりなくなっていましたが)。
わたしの卒論では二次元NMRまで使いましたが、今は四次元NMR、つまり高分子のダイナミック・モーション解析までできます。例えば、膜タンパク質の環境による時間的構造変化を解析できるのです(論文例)。
NMRの分野では応用のMRIも含めるとノーベル賞受賞者が6名いますが、彼らの功績をもとに、その後の発展は物理学的なものというより、実験手法のアイデアとパルス信号の処理・計算技術の発達が貢献している気がします。
エキサイティングで楽しいと思っていたNMRトピックでしたが、いつも分からないところを教えてくれる賢い中国人学生が、「面白くない、嫌い」と言っていたので、やっぱり好き嫌いってあるんですね。ファイナル試験で頑張った結果、自分でも驚きの自己最高99点をとることができました。生物統計時代でもこんな点とったことないです。