アメリカで博士号をとる日本人、理系?文系?


つぎに、冒頭のアメリカの博士号に関するNSFの資料ですが、人種と年齢の観点からみても面白いです。日本では、大学を卒業してそのまま修士、博士課程へと進み27-28歳あたりで博士号を取得するのが一般的だと思います。一方、NSFの2013年度の人種と年齢別の博士号に関する表をみると、アメリカでは博士号の取得年齢に大きくバラツキがあります。

ヒスパニック系以外の人種は、白人、アフリカ系黒人、アジア人、アメリカン・インディアン又はネイティブ・アラスカン、混血、その他(不明含む)の6つのカテゴリー別で統計が示されています。この中で、白人、アジア人、混血は博士号取得年齢が一番はやく、中央値で31歳です。

一方、マイノリティーのアフリカ系黒人やアメリカン・インディアン又はネイティブ・アラスカンは、取得年齢が中央値で35-36歳です。白人やアジア人に比べて4-5年遅くなっていますから、高等教育にたどり着くまでの困難、環境の違いといったものを想像させます。

マイノリティーの大学院生で思い出すのが、わたしが1つ目のPhDをめざし学生をしていたころ、アフリカ人のクラスメートに家に招待されたことがあります。大学院生は通学に便利な大学周辺のアパートに住むのが一般的ですが、彼女のアパートは車で高速に乗っていかなければならないような安い、治安の悪い地域にありました。

自分だけ招待されてお茶をしていたのですが、そこで聞いた彼女の人生経験は、日本で平和に暮らしてきた私とは全然違っていました。彼女のお父さんは、ルワンダ虐殺で目の前で殺害され、彼女自身には8歳のこどもがいるが、アフリカに残っている。彼女は職業訓練をうけたあと国連で働き、仕事上必要意識を感じたので、親戚をたよりながらアメリカに留学してきた(アメリカに留学するには留学費を保証できるひとが必要)、というものです。

大学院にもよりますが、こういったバックグラウンドで学業に対する姿勢が必死なクラスメートがいると、授業の雰囲気が変わってきます。授業中積極的に質問するので、授業を受けるもの全員へ良い刺激になります。        ただ、学力的には少し落ちるところがあったのか、授業についていけなかったのか、夏休みが終わって気づくと彼女は他の大学院に移っていて音信不通になってしまいました。


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