アメリカで博士号をとる日本人、理系?文系?


日本は、同じような経済大国で日本より人口の少ないドイツと比べて、博士号取得者が若干多いぐらいです。日本もドイツも自国で取得する博士号で研究するに十分な素質を保証されるので、心配ないといえば心配ありません。むしろ、母国語で博士号を取得するほうが、より深く学び立派な研究ができる可能性があります。また、留学で新しい環境や慣習になれる必要がない点で楽です。

日本の大学の世界ランクに一喜一憂するニュースがありますが、世界ランキングに用いる指標は英語圏の大学に有利なものなので、大半が日本語による博士課程であり、海外からの留学生も少ない日本の上位大学は健闘しているといえるのではないでしょうか。

ただ一つ気になるのは(逆に言えるのは)、日本の大学院の国際交流状況です。

アメリカのあらゆる分野の研究開発において、日本人の博士号取得者の数の少なさは、そのまま日本のプレゼンス(存在感)の弱さになる気がします。

たとえば、わたしに知識がある製薬業界を考えてみます。この業界では、日本企業が海外へ進出しがんばっているから日本の存在感が大きいのでは?という考えもあるでしょう。しかし、研究開発の世界ではアカデミックの存在感も無視できないと思います。

例えば、製薬会社で薬の国際開発をするとしましょう。薬の開発でまず念頭においておかなければならないのは、ICHガイドラインというものです。このガイドラインを守って薬の研究開発を行うことで、どの地域で研究開発しても研究開発の質と倫理性が担保でき、薬の承認審査に耐えうる資料ができることになっています。

このICHガイドラインは、大ざっぱにいえば、日米欧の三極で検討し合ってまとめることになっています。

しかし、私が薬学大学院の授業で習う限り、ICHガイドラインに関わるトピックで日本の存在感は全くないです。ICHガイドラインでは、アカデミックでの研究成果も反映させ、作成及び改定されます。その研究の成果は、殆どがヨーロッパとアメリカから来るのです。


にほんブログ村 海外生活ブログ 海外留学(アメリカ・カナダ)へ ブログ村

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です