iPS細胞による治療の安全性とパワー50%以下について


なお、上記の統計的バラツキと表現した95%信頼区間は、いろいろな計算方法がある中でRソフトのbinom.testで計算しました。数字は大体の目安と考えてください。

さて、統計学的有意差と臨床的有意差は違うと主張するひとがいます。

科学的方法論においては、これは間違いです。

現実の実行可能性(Feasibility)を考えなくて良いならば、期待したい臨床的に意味のある差を数値化して統計の公式に当てはめ、第一種過誤、第二種過誤と呼ばれる値も代入し、サンプルサイズを計算します。そのサンプルサイズを臨床研究に必要な患者数として採用すれば良いのです(注意:実際はもっと複雑な方法をとることがあります)。

つまり、このような臨床研究のデザインでは、統計学的有意差も臨床的に意味のある差も考慮して研究を行うことになります。

研究を実施した結果、統計学的有意差がなければ、期待していた臨床的有意差もないと考えます。

なお、臨床研究にしても臨床試験(いわゆる治験)にしても、実際あまりにも規模の大きい患者数(サンプルサイズ)での研究は無理なので、臨床的、統計学的、現実的な面を総合して最適な研究デザインを考えます。


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