23andMe(遺伝子検査キット)


アメリカには23andMeのような遺伝子検査サービスが色々あります。日本でも去年2014年11月にヤフーが一般向けの遺伝子解析サービスを開始したと話題になりましたね。ヤフーHealthData Lab遺伝子解析サービスは4万9800円もするそうです。高い!しかし、23andMeとの違いは、ヤフーでは約290項目もの病気発症リスクなどを教えてくれるとのことです。

実は、アメリカでは、23andMeのような遺伝子検査キット製品で、このような健康リスク予測情報を提供することは原則禁止されています。原則というのは、遺伝子診断サービスが医療機器(Medical device)の一種と見なされるので、販売には、FDA(アメリカ食品医薬品局)に信頼性ある科学的データを提出し承認を取得する必要があるのです。遺伝子解析の場合は、リスク1項目につき、一承認ということになるようです。

遺伝子検査サービスは概して、Direct-to-Consumer (DTC) Testingと言われますが、23andMeは中でも代表的な製品。それを提供する23andMe,Inc.のCEOに対して、FDAは2013年11月22日付で連邦食品・医薬品・化粧品法違反に対する手厳しい警告レターを送りました。それ以前は、23andMeの購入者は健康リスクレポートを受け取ることができていたのですが、これ以降、すべてのDTC Testing製品においてリスクレポーティングは中止となりました。

なぜ、ここまで遺伝子診断の情報提供が厳しく取り締まられたのか。それは、通常遺伝子検査キットの販売会社が、全ての遺伝子をカバーして解析してくれることはないからです。大腸がん関連の遺伝子のひとつに変異があったからといって、必ずしもリスクがあるとは限りません。

また、このようなキットを使ったサンプル採取は、唾液を使うのが一般的ですが、サンプルを安定的に保管し、遺伝子を抽出する過程における品質、遺伝子データを解析解釈する過程における品質でばらつきが起こり、健康リスクレポートの情報が、実は擬陽性だった場合、後に消費者問題を起こしかねません。

PGxの授業では、23andMeより受け取った遺伝子自体のデータを、PharmGKBなどのデータベースリソースと照合する作業をしました。一個人がある特定の薬に対して代謝が早いか、遅いか、弱いかや、過敏症のリスクがあるか、他の薬と物相互作用を起こしやすいかなどの解釈をし、臨床(研究者、または薬剤師として)でどのように応用できるかということを学びました。


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