クリエイティビティの素:瞬発力


日本にいるとき、私は日々ものごとを良く考えてきませんでした。考えていると自分で思っていたけれど考えていなかったし、考えることをそれほど要求されなかった。それをアメリカの高等教育を通して痛感しました。

アメリカでは、授業中のディスカッションでも宿題でも、「いまココで考えること」が要求されます。後で考えたい、後で調べて考えさせてと思っても次にチャンスが回ってくることはまれ。ディスカッションが活発で話題はどんどん流れていくので、発言の瞬間を逃せばもうチャンスは得にくいのです(スキルがあがれば後戻りさせて発言することは可能)。

こういった瞬発力が必要な状況は、大学・大学院の勉強だけでなく、ソーシャルな場での会話や仕事上でもあるでしょう。また、日本のビジネスの世界では「創造性、クリエイティビティ」をどう育めば良いか盛んに思考されていますが、アメリカ人のクリエイティビティの高さは彼らの高い瞬発力に支えられているのではないでしょうか。

このように大切な「いまココで考える」にはどうすれば良いでしょうか。それは、考えるための道具(知識、経験)を頭の引き出し入れて置いて、いつでも取り出せるようにすることだと思います。

わたしが一番好きな西洋のことばで「Knowledge is power」というのがありますが、これは正に考えるための道具を指しているのでしょう。

私の経験からいうと、アメリカでは考えるために必要な知識は大学で得ます。その知識は莫大で、1年2学期制(春・秋学期)の大学であれば1学期4ヶ月間に大きく分厚い教科書(1冊800頁前後)から学びます。

例えば、3単位の講座であれば週3時間授業があります。そのうち2時間は講義、残り1時間はレサテーション(recitation)といって授業内容の実践(グループディスカッションや練習問題など)をするのが典型的です。

このため、(分野によりますが)2週間で100ページぐらい教科書を読まなくてはなりません。

日本の教育は詰め込みといいます。しかし、アメリカの教科書は小さい文字でぎっしりであること、試験が3-4回あること、1学期に5講座以上受講することなどを考えるとアメリカの教育だって大学は詰め込みです。特に生物系は細かい暗記が必要です。


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